Qスイッチレーザー

Qスイッチレーザーとは、極短時間（１０億分の１秒）レーザー光線を照射することにより、メラニン含有細胞を選択的に破壊し、周囲への影響を最小にするレーザーのことを言います。Qスイッチレーザーにはルビーレーザー、YAGレーザー（KTP/ Nd-YAG）、アレキサンドライトレーザーなどの種類があります。最も効率よく高出力のレーザー光線を取り出せるのは、YAG レーザーです。そのため、工業や研究機関ではYAGレーザーが多く使用されています。

肌のしみの場合、高出力を要求されることはなく、照射スピードもマシンガンのように早くする必要がないため、ルビーやアレキサンドライトなどのレーザーも用いられています。

肌のしみ治療で重要なのは、レーザーの性能より『メラニン』と『酸化ヘモグロビン』です。シミはメラニン色素の集まりであるため、メラニンへの反応が高いことが重要になってきます。しかし、周囲の組織にダメージを与えてしまっては問題です。できるだけ、メラニンのみに反応し周囲の組織に影響がないことが重要となります。

皮膚には血管があり、血液が流れています。血液中の赤血球に含まれる酸化ヘモグロビンが光の影響を受けます。レーザーで酸化ヘモグロビンが反応すると赤血球が破壊され、出血や紫斑の原因となり、色素沈着のリスクが高まります。

シミの治療では、メラニンへの反応が高く、酸化ヘモグロビンへの反応が低いほど適していると言えるのです。

各種レーザーの波長とメラニン、酸化ヘモグロビンの吸収を比較すると

メラニンでは　　KTP（Nd:YAG）＞ルビー＞アレキサンドライト＞＞Nd:YAG

酸化ヘモグロビンでは　KTP＞アレキサンドライト＞Nd:YAG＞ルビー

の順になっており、表在性のしみにはKTPが適しており、深在性のしみや比較的薄いシミへの反応も良いとされています。

当院ではKTP、ルビーレーザーを有しており、お肌の色調、赤みを肌診断機で診断し、患者様に合ったレーザーを選択して使用しています。